ジェフ・ベック使用ギター徹底解剖|音が“語る”伝説のサウンドの秘密に迫る

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ジェフ・ベック使用ギター

・ジェフ・ベックの使用ギターを知りたい
・ジェフ・ベックの音を再現したい
・ジェフ・ベックモデルギターや使用エフェクターを購入参考にしたい

ギター1本で“語る”男、ジェフ・ベック。

そのサウンドは、速弾きや技巧では語り尽くせない、深い「物語性」に満ちています。

ピッキングの繊細さ、トレモロアームの揺れ、ほとんど“指先だけ”で紡がれるフレーズ。

音に宿る表現力は、長年にわたって使い続けた名器たちと共に作られました。

この記事では、年代別に使用されたベックのギターや音作りの秘密、そして今からでも試せる再現機材までを徹底解説。

さらに、思わず語りたくなるトリビアや逸話も多数ご紹介。

ベックの音に近づきたい人はもちろん、「なぜ彼が伝説なのか」を知りたいあなたにも。

読めばきっと、ギターとの向き合い方が変わるはずです。

ギター愛好家・プレイヤー必見の内容を、じっくりお楽しみください。

目次

ジェフベックの3大ギター

KOTOBUKI

ジェフ・ベックが使っていたギターのメーカーやモデルは?

ジェフ・ベックの音を語る上で、欠かせないのが3本の名器たちです。

  • オックスブラッド:「ギブソン・レスポール」
  • 白いストラトキャスター:「フェンダーストラト・キャスター」
  • 改造テレキャスター:「テレギブ」

この3本は、彼の演奏スタイルと音楽の変遷を象徴する存在となっています。

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ジェフ・ベックが信頼したギターには、必ず「意味」があるんです。

音の進化と一緒に、そのギターたちも進化してきました。

どのギターにも、ただの道具ではない「音の物語」が刻まれています。

次の見出しから、それぞれのギターの特徴や使用時期について詳しく紹介していきます。

【オックスブラッド(Oxblood)レスポールとは?】

オックスブラッド(Oxblood)レスポール

「オックスブラッド」とは、ジェフ・ベックが1973年頃にメンフィスの楽器店で偶然出会った、1954年製のギブソン・ゴールドトップ・レスポールを改造した個体の通称です。

  • 太くて温かい音が特徴
  • ピックアップがPAFに近い出力
  • カスタム仕様のネック
  • 1973年〜74年のBBA期に使用
  • 使用曲:「Superstition」など

その名のとおり、「牛の血」のような深く黒に近い赤褐色のカラーが最大の特徴で、彼の代表的なハードロック期(特にBBA〜『Blow By Blow』初期)を象徴するギターです。

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このギターは、ギブソン・レスポール・スタンダードの中でも、独特なビジュアルを持っています。
一見黒にも見える深い赤は「オックスブラッド(牛の血)」と呼ばれるカラーで、ヴィンテージ愛好家の間でも人気の色です。

【オックスブラッド・レスポールの主なスペックと改造点】

項目内容
年式1954年製(元はゴールドトップ)
ボディ材マホガニーバック + メイプルトップ
カラー再塗装されたオックスブラッド(深赤〜黒)
ピックアップオリジナルP-90 → ハムバッカー(復刻はE-Bucker)
テールピースアルミ製スタッドテールピース(復刻仕様)
ネック加工わずかに削られて細く調整
チューニングペグシャーラー製へ交換
改造時期ベックの購入以前に施されたカスタム
特徴的ポイントフルサイズのハムバッカー + 太いミッド + 粘るトーン

【音作りと使用状況】

  • **使用時期:**1973年〜1975年頃(BBA期〜『Blow By Blow』期)
  • 代表曲・ライブ:「Superstition」など。BBA『LIVE IN JAPAN』でも聴ける
  • 録音:『Blow By Blow』にも一部使用(主にストラトが中心)
  • 特徴的な音:
    • 太くて粘るミッドが強調されたトーン
    • ボリュームを絞ったときのクランチ〜歪みが絶妙
    • ストラトでは出せない、温かく重厚なサウンド
  • アンプとの組み合わせ:
    • SUNNアンプ + ユニボックス製キャビネット
    • BBAの太いロック・ブルースサウンドに最適

BBA(Beck, Bogert & Appice)の時代にメインで使用され、太く重厚なリフに最適な1本でした。特に「Superstition」などのナンバーでは、パワーと粘りのある音が存分に発揮されています。

70年代初頭の「ロック+ブルース」にベックが傾倒していた時期と、このギターのキャラクターが見事に重なっています。この時代の演奏は、彼の音楽的な重厚感を支える土台となりました。

あなたが太くて深い音を目指すなら、まずこの時期の音を聴いてみてください。そして「オックスブラッド」のようなレスポールに触れることが、そのヒントになります。

【復刻モデルと価値】

  • ギブソン・カスタムショップ製「オックスブラッド」シグネイチャーモデル
    • オリジナルの仕様を忠実に再現
    • ピックアップや塗装、ネック加工まで細部にこだわった限定販売モデル
  • 市場評価:
    • 2025年、クリスティーズのオークションで約106万8500ポンド(約2億600万円)で落札
    • ジェフ・ベックの歴史的ギターとして最高峰の価値を誇る

【総評|なぜ“オックスブラッド”が伝説なのか?】

ジェフ・ベックが「音に語らせる」ことを追求した時代、その芯となったのがこのオックスブラッド・レスポールでした。

彼の奏法(ピッキング、ボリューム調整、トーンコントロール)を余すことなく受け止め、温かくも力強いトーンで返すこのギターは、単なる“機材”ではなく、彼の感情を音に変えるための共演者だったのです。

ギブソン・レスポールの中でも、歴史と改造、演奏との融合がこれほど完璧な一本は他にありません。


ジェフ・ベックが好んだ「太く粘る音」は、オックスブラッドから生まれていました。

名曲「哀しみの恋人達」で使用【テレギブ(Tele-Gib)とは?】

「テレギブ」は、フェンダー・テレキャスターのボディにギブソンのPAFハムバッカーを搭載した、まさに“テレキャスター+ギブソン”という異色のハイブリッドギターです。

セイモア・ダンカンが1970年代にジェフ・ベックのためにカスタム製作したこの1本は、『Blow By Blow』期に使用され、特に名曲「哀しみの恋人達」でその甘くも太いトーンが際立ちました。

  • テレキャスターとギブソンの融合
  • ハムバッカーで太い音
  • Blow by Blow期に使用
  • 使用曲:「哀しみの恋人達」など

ベック本人も「このギターの音が最高だった」と認めたほどの特別な存在で、カスタムギターの可能性を象徴する1本です。

このギターは『Blow By Blow』での録音時に、ジェフが求めた理想の音を実現するために用意されたものです。セイモア・ダンカンの手で製作されたオリジナルで、彼の“探求心”がそのまま形になったようなギターでした。

「テレギブ」は、ハムバッカーで甘くも太いサウンドを生み出しつつ、テレキャスターのキレも持っています。その独特な音は、「哀しみの恋人達」で聴けるジェフの繊細な感情表現に深みを加えました。

カスタムギターの可能性を知りたいなら、テレギブに注目してみてください。音の幅を広げたい人にとって、最高のインスピレーション源になります。

【主なスペックと改造点】

項目内容
ベースモデル1959年製 フェンダー・テレキャスター(諸説あり)
ボディ1960年ヴィンテージ テレキャスター
ネックメイプルネック(貼りメイプル)に交換
指板元はローズウッド(交換済)
ピックアップフロント&リア:PAFハムバッカー
ピックアップ後継モデルSeymour Duncan SH-2 Jazz / SH-4 JB
ブリッジ非純正ブリッジに交換(詳細不明)
改造者セイモア・ダンカン(1972年入手〜製作)
トレード経緯ベックの1954年製エスクァイアと交換

元々は非常に荒れた状態のテレキャスターだったが、セイモア・ダンカンがピックアップ、ネック、ブリッジを中心に大改造。

トレード後、ベックは「エスクァイアを失ったことを後悔している」と語るも、「テレギブの音の方が良かった」とも発言。

「テレギブ」はSH-2(Jazz)とSH-4(JB)という後の定番ピックアップの誕生元でもあります。

【音作りと使用状況】使用楽曲・ライブ・時期

使用場面内容
スタジオ録音『Blow By Blow』(特に「哀しみの恋人達」)
映像出演『シークレット・ポリスマンズ・ボール』ミュージックビデオ
ライブ1980年の『ゼア・アンド・バック』ツアーでもメインのサンバーストストラトと共に使用
その他スライドギター用途にも使用
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ベックの「テレギブ」は、自作・改造の理想形でした。

白のストラトキャスター

白のストラトキャスターとは

ジェフ・ベックが長年メインで使用してきた白のストラトキャスターは、彼のサウンドと演奏スタイルを象徴する存在です。

指弾き、アーム奏法、細やかなトーンコントロールなど、ベック独自の表現を支えたこのギターは、時代ごとに姿や構造を変えながら進化を遂げてきました。

  • 4つの世代で使用進化したストラトキャスター
  • 軽快でナチュラルなサウンド
  • ストラト特有の繊細なタッチ
  • ジョン・マクラフリン譲渡品を使用
  • 1980年代以降のメインギター
  • 「アヌーシュカ」と名付けた個体も
  • フェンダー・シグネチャーモデルあり

最初の白ストラトは、第2期ジェフ・ベック・グループあたりから登場します。

その後、ジョン・マクラフリンから譲り受けたストラトキャスターが『Wired』期以降の音の柱になりました。

彼は白いボディを好み、「アヌーシュカ」と名付けて長く愛用。このギターは2025年のオークションで約2億円で落札されるほどの存在感です。

フェンダー社も彼のためにシグネチャーモデルを製作し、リバースヘッドなど独自仕様を採用しました。

トレモロ、指弾き、ハーモニクスなど、すべての表現に応えてくれるストラトでした。

このギターで彼は、まさにギターを“声”に変えたのです。

あなたが感情でギターを弾きたいなら、白ストラトの音を聴いてください。

①初期白ストラト(第2期ジェフ・ベック・グループ)
「ベック・オラ」以降に使用開始。ライブや『Wired』期でも使われた。シンプルな仕様ながら、アームを駆使した表現力豊かな音が特徴。

②シェクター搭載白ストラト(1978年来日公演)
通常のストラトと異なり、ピックアップセレクターが3ミニスイッチ式で独立操作が可能。多彩な音作りができる配線で、モダンな改造が施されていた。

③カスタムショップ製「アヌーシュカ」
晩年まで本人が使い続けた、最も愛用されたモデル。オークションでは約2億円で落札。演奏の“声”そのものと言われたほどの重要ギター。

④シグネイチャーモデル(1991年以降)
市販モデルとして世界中のギタリストが手にできるベック仕様。仕様は2001年に大幅改良され、演奏性と音質の両面が強化された。リバースヘッドなど独自仕様を採用も登場。

音作りと使用状況(白いストラトキャスター全般)

使用時期・曲内容
1970年代~現在メインギターとして長年使用
『Wired』期~アームと指弾きを融合した演奏法
「ワイアード」「ブルー・ウインド」トレモロによる表情豊かな演奏を実現
『Guitar Shop』以降繊細なフィンガーピッキングと音の抑揚
2010年代ライブVibro-King+マーシャル2061Xを併用
シグネイチャーモデル期ノイズレスPUと2点トレモロで表現力アップ

ベックの奏法は、**右手のコントロール(ピッキング+アーム操作)**に強く依存。

  • ストラトのトーン・ボリューム配置とアームの位置関係が、彼の繊細な音操作を支えていた。
  • フィンガーピッキングとストラトの相性は非常に良く、ベックは指だけで弦を弾き分け、ボリュームやトーンで音に表情を加えていた。
  • ノイズレスPU搭載モデルでは、輪郭のはっきりした音と、滑らかな高域が両立。ベックの音色に理想的な設計。

白のストラトキャスターは、ジェフ・ベックにとって単なる楽器ではなく、感情と音をつなぐ“声”のような存在でした。その時代ごとに仕様は異なりますが、共通しているのは「音の細部まで意図が宿るギター」だということです。

もしあなたが“心で弾くギター”を求めるなら、白いストラトの音をぜひ聴いてみてください。

ベックが遺した音の美学は、いまも白いボディに息づいています。

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白いストラトキャスターは、ジェフ・ベックの“声”でした。

時代を彩った“ジェフ・ベックのギター遍歴”【完全年表付き】

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ジェフ・ベックがキャリアを通じて使用・所有していたギター全部についてそしりたいですよね!。

ジェフ・ベックのギター人生は、音楽ジャンルの変化とともに進化し続けた軌跡でもあります。

彼がどのギターを、どの時期に、どのように使ったかを知ることで、音の裏にある探究心や哲学が見えてきます。

  • ヤードバーズ期:フェンダー・テレキャスター / エスクワイヤー
  • 第1期ジェフ・ベック・グループ:レスポールとカスタムギター
  • 第2期ジェフ・ベック・グループ:フランケンストラト
  • BBA期:ギブソン・レスポール「オックスブラッド」
  • フュージョン期:テレギブ、白ストラトと革新の音
  • Flash期~晩年:フィンガーピッキングと白ストラト
  • アコースティックとシグネチャーギターの魅力

ジェフ・ベックのギター選びは、その時代の音楽への答えだったんです。

次の各セクションでは、時系列でベックのギター変遷をたどりながら、その時代ごとの音の特徴と奏法の違いを詳しく見ていきます。

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「初期と晩年で使用ギターに違いはあった?」

ヤードバーズ期 1965~フェンダー・テレキャスター / エスクワイヤー

ジェフ・ベックが初めて広く知られたのは、ヤードバーズでの活動時です。クラプトンの後任として、彼はより攻撃的かつ前衛的な音でロックシーンに衝撃を与えました。

この時期、彼が愛用していたのはフェンダー・テレキャスターやエスクワイヤーでした。

フェンダーエスクワイヤーの特徴

この時期のベックは「ロックギターの未来」を予感させる存在でした。ベックが特に愛用したのは、54年製のフェンダー・エスクワイヤーです。

  • 鋭く抜けるサウンド
  • スライドやフィードバックを多用
  • 1962年頃~1966年の使用
  • 使用曲:「Heart Full of Soul」など
  • ミックスに溶け込む鋭いプレイ

フェンダーエスクワイヤーでは「Shapes of Things」などの曲では、荒々しい中にも繊細なコントロールが感じられます。

ストラトのようなコンター加工を持ち、メイプルネックのこの個体は、のちに「テレギブ」と交換されましたが、本人はその交換を深く後悔していたと語っています。

ジェフ・ベックの原点を聞きたいなら54年製のフェンダー・エスクワイヤー

フェンダー・エスクワイヤーやテレキャスターは、彼の実験的プレイにぴったりのギターでした。スライド奏法やフィードバックノイズ、トレモロの過剰使用など、音の可能性を広げる試みに挑戦しています。

このギターこそが、初期の革新性を象徴する1本だったのです。

もしあなたが原点のベックに触れたいなら、まずはこの頃のヤードバーズを聴くことをおすすめします。

特にエスクワイヤーの攻撃的な音色は、今なお色褪せません。

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ヤードバーズ時代の音は、すでに「未来のギター」でした。

ヤードバーズ期1965年~使用ギター一覧

その他、1959年製 ギブソン・レスポールや後にジミー・ペイジへ贈ってドラゴンテレキャスターとなった1958年製 フェンダー・テレキャスターも使用しています。

使用時期ギター名使用曲音の特徴
1965年赤のフェンダー・テレキャスターI’m A Man鋭く切り込むようなトレブリーな音
1965~1974年1954年製 フェンダー・エスクワイヤーHeart Full of Soul歯切れのよい中域、粘りのあるサスティーン
1966年1959年製 ギブソン・レスポールOver Under Sideways Down太く滑らか、歌うようなトーン
1965年1958年製 フェンダー・テレキャスター–(主に貸与)後にジミー・ペイジへ。ドラゴンテレとして有名

第1期ジェフ・ベック・グループ1967~:レスポールとカスタムギター

ヤードバーズを脱退したジェフ・ベックは、ハードロックとブルースロックの融合を目指したバンドを結成。この時期のサウンドは、ブルースロックに重厚さと情熱を加えたものです。

ロッド・スチュワートやロン・ウッドとの活動で知られる第1期ジェフ・ベック・グループでは、P.A.F.ピックアップ搭載のレスポール・スタンダードを軸に、マーシャルとの組み合わせで太く重厚なトーンを追求していました。

P.A.F.ピックアップ搭載のレスポール・スタンダードの特徴

P.A.F.ピックアップ搭載のレスポール・スタンダードの特徴

  • 太く芯のある音
  • リフとソロに最適な中域
  • 使用時期:1967年~1969年
  • 使用曲:「Truth」全体
  • レスポールの豊かなサスティーン

曲「Shapes of Things(再録)」や「Let Me Love You」などで、分厚い音と繊細な表現が見事に共存しています。また一部のステージでは、細部をカスタムした個体も登場し、試行錯誤が続いていたことがうかがえます。

機材についてはTONE BENDER MK.IIやCry Babyワウと組み合わせ、クラプトンのブルースロック路線に影響されたトーンで攻めました。

アルバム『Truth』では、マーシャル100Wと合わせた「ブリティッシュ・ロックの原型」ともいえる音を確立。

使用時期ギター名使用曲音の特徴
1967~1969年ギブソン・レスポール・スタンダード(ナチュラル)Truth(全編)太く力強い中低音、P.A.F.特有の粘り
1968年~ギブソン・レスポール・スタンダード(サンバースト)Beck’s Boleroメロディアスで甘いトーン、リッチな倍音
1969年塗装なしストラト(フランケンストラト)Plynth鋭く乾いたトレブリーサウンド

この時期の音は、ベックの「攻め」のスタイルが強く反映されています。骨太で情熱的なプレイに惹かれる人には、ぜひ聴いてほしい時代です。

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『Truth』のベックは、ロックギターの重さと熱さを体現していました。

『Beck Ola』 第2期ジェフ・ベック・グループ1971年~「フランケンストラト」

第2期ジェフ・ベック・グループでは、ストラトキャスターがメインとなり、サウンドの方向性も変化しました。

この時期に使われた“フランケンストラト”は、複数のパーツを組み合わせた改造ストラトで、ワイルドかつ個性的な音を生み出しました。

「フランケンストラト」の特徴

  • アルダーボディで軽量+改造ピックガード
  • 使用時期:1971年~1972年
  • 使用曲:『Beck Ola』全体
  • フェンダーの立ち上がりの良さを活用

『Beck Ola』制作時にギターの改造に着手

『Beck Ola』制作時には、ギターの改造にも積極的でした。中でもピックガードが大胆にカットされた白いストラトは「フランケンストラト」として知られています。

これは既製品ではなく、実験的な構成で構築された一点もの。ストラトらしい立ち上がりと音の抜けを重視し、ヘビーな演奏の中でもクリアさを保っています。

「Rice Pudding」などでは、そのスピード感と鋭いアタックが最大限に活かされています。

モータウンサウンドの影響を受け、彼の音はより空間的・立体的な方向へ進化。ストラトの“抜ける音”を活かしたプレイが特徴でした。

『Beck Ola』 第2期ジェフ・ベック・グループ時代の使用ギター一覧

使用時期ギター名使用曲音の特徴
1971年~1972年フランケンストラト(改造ストラト)Ice Cream Cakes
Going Down
鋭いトレブリーな音、個性的なフィードバック
1971年~ホワイト・ストラトキャスターGot The Feeling
Sugar Cane
艶のある高域、ワウとの相性抜群

アンプは主にマーシャルを使用し、Colorsoundのパワーブーストやワウペダルといったエフェクターも積極的に導入。

「Got The Feeling」のカッティングや、「Going Down」のフィードバックなど、ライブでの表現力はこの時期のハイライトでした。

また、マックス・ミドルトンのキーボードとともに、ジャズ的アプローチも見られるようになり、プレイスタイルの幅が大きく広がりました。

ロックに新しい息吹を吹き込んだ、重要な時代です。

あなたも「音の加工」や「改造」に興味があるなら、フランケンストラトの考え方は参考になるはずです。

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“改造ストラト”は、ジェフ・ベックの進化の象徴でした。

『Beck Ola』 第2期ジェフ・ベック・グループ1971年~「フランケンストラト」

第2期ジェフ・ベック・グループでは、フェンダー・ストラトキャスターへの移行が始まりました。

この時期、特に注目されるのがカスタム改造された「フランケンストラト」です。

  • 白いボディ+改造ピックガード
  • アルダーボディで軽量
  • 使用時期:1971年~1972年
  • 使用曲:『Beck Ola』全体
  • フェンダーの立ち上がりの良さを活用

『Beck Ola』制作時には、ギターの改造にも積極的でした。中でもピックガードが大胆にカットされた白いストラトは「フランケンストラト」として知られています。

これは既製品ではなく、実験的な構成で構築された一点もの。

ストラトらしい立ち上がりと音の抜けを重視し、ヘビーな演奏の中でもクリアさを保っています。

「Rice Pudding」などでは、そのスピード感と鋭いアタックが最大限に活かされています。

この時期から、彼の音はより空間的・立体的な方向へ進化し始めていました。

ロックに新しい息吹を吹き込んだ、重要な時代です。

あなたも「音の加工」や「改造」に興味があるなら、フランケンストラトの考え方は参考になるはずです。

“改造ストラト”は、ジェフ・ベックの進化の象徴でした。

1973年~1974年 BBA ギブソン・レスポール「オックスブラッド(Oxblood)」

1973年に結成されたBBA(ベック・ボガート&アピス)期では、ジェフ・ベックは太くて重厚なサウンドを求めてレスポールを再びギブソン・レスポールに回帰します。

「牛の血の色」と形容される「オックスブラッド」

特に象徴的だったのが、濃い赤褐色の塗装が特徴の「オックスブラッド」と呼ばれるレスポールです。

この時期のベックは、オックスブラッドの使用によって太く力強いロックサウンドを追求しました。

Oxbloodの特徴

  • 重厚で粘る中低域
  • スライド奏法に対応しやすい
  • 使用時期:1973年~1974年
  • 使用曲:「Superstition」など
  • 重めのビブラートが特徴

Oxbloodは1954年製のゴールドトップをベースに、黒に近い赤茶色の「オックスブラッド」に再塗装された改造機。ピックアップはP-90からPAF系のハムバッカーに交換され、ブリッジやチューニングペグも変更されていました。

BBAではこの太いサウンドがバンドのパワフルな方向性と合致し、特に「Superstition」などでその力強さが印象付けられました。

ライブではSUNNアンプ+Univoxキャビネットと組み合わせ、音の壁のような圧力感を実現していました。

また、Oxbloodは後にギブソンが復刻モデルとして限定販売。ベックの所有するものは2025年のオークションでは約2億600万円で落札されました。

使用時期ギター名使用曲音の特徴
1973年~1974年ギブソン・レスポール「オックスブラッド」(Oxblood)Superstition
You Shook Me
Jeff’s Boogie
太く粘る音、濃密なミッドレンジとサスティーン

OxbloodとBBA

BBAはパワートリオ編成で、ジェフのギターがバンドの要でした。そのため、濃厚で存在感のある音が求められ、オックスブラッドが選ばれました。

ライブではアドリブ要素も強く、レスポールの持つ深いサステインが彼の即興性にマッチ。

「Livin’ Alone」などで聴けるチョーキングとスライドの巧みな組み合わせは、まさにこのギターだからこそ。

重量感のあるトーンに包まれたこの時代のプレイは、ベックの音楽的探求心の一端を感じさせます。

もしあなたが「圧倒的なギターソロ」を求めているなら、この時代の音がヒントになるはずです。

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オックスブラッドの音は、ベックの“野性”そのものでした。

フュージョン期 (1975年~1980年)

1975年以降、ジェフ・ベックはBBAの解散を経て、ロックとジャズの融合を模索するインストゥルメンタル作品を中心に活動するようになりました。

この時期にはストラトキャスターと改造ギターたちでした。より繊細かつ豊かな表現を可能にした音作りが特徴です。

フュージョン期のギターの特徴

  • 軽快で広がるサウンド
  • テレギブによる甘く太いトーン
  • ギターシンセの導入
  • 1975年〜1980年
  • 代表曲:「哀しみの恋人達」
  • 来日公演で白ストラト使用
使用時期ギター名使用曲音の特徴
1975年フェンダー・ストラトキャスターFreeway Jam
Cause We’ve Ended as Lovers
繊細で多彩なニュアンス、アーム操作が重要
1975年セイモア・ダンカン テレギブ哀しみの恋人達ハムバッカーによる太く甘いトーン
1975~1980年1954年製ギブソン・レスポール(オックスブラッド)楽曲によって部分的に使用太い音でアクセントを加える
1980年ローランド GR ギターシンセライブ使用記録あり実験的なサウンド、効果音系

フェンダー・ストラトキャスター

『Blow By Blow』での成功により、ジェフはより実験的な音楽表現に踏み出しました。

『Blow by Blow』や『Wired』では、フィンガーピッキングとトレモロアームを駆使した、今のジェフ・ベックに繋がるスタイルが確立されました。

この時期はトーキングモジュレーターやオクターバー、リングモジュレーターなどのエフェクトも積極的に導入され、音楽的実験性が高まった時期です。

アンプはMarshallとFenderを併用しつつ、Colorsound OverdriverやBOSS OD-1などの歪みエフェクトも使用されました。

演奏面ではトレモロアームによる音程変化や、ビブラート、フィードバックを積極的に活用し、インストゥルメンタルの新境地を切り拓いていきました。

また、この時期にテレギブを導入し、ハムバッカーならではの柔らかさとテレキャスターの鋭さを併せ持つ独自サウンドを実現しています。

セイモア・ダンカンが制作した「テレギブ」

セイモア・ダンカンが制作した「テレギブ」は、その音楽性にぴったりとフィットしました。

ハムバッカー搭載ながら、テレキャスターの輪郭も持ち合わせたこのギターは、「哀しみの恋人達」でその魅力を発揮。

この楽曲では、ソウルフルで泣くようなトーンが心を打ちます。

シェクター製ピックアップの白いストラトとギターシンセGR-500

また、1978年の来日公演ではシェクター製ピックアップの白いストラトや、ギターシンセGR-500を使用するなど、革新的な音作りにも取り組んでいました。

特に「Space Boogie」では、ギターとは思えないほどの表情豊かな音色が飛び交います。

この時期のベックは「テクニック」よりも「音そのもの」に注目していたことが、はっきりと伝わってきます。

音を自在に操る力を身につけたいなら、この時代のベックは必修科目です。

フュージョン期のベックは、音の魔術師と呼ぶにふさわしい存在でした。

Flash期以降~晩年 (1985年~2023年)

1985年の『Flash』以降、ジェフ・ベックは完全にピックを手放し、フィンガーピッキングを主軸とした独自の奏法を確立しました。

また、ジェフ・ベックはフェンダーとの関係を深め、独自のギター哲学を確立した時期でもあります。

フェンダー・ストラトキャスターの進化

この時期から晩年にかけて、フェンダー・ストラトキャスターを中心に様々な仕様・チューニングの個体を使い分け、細かなニュアンスを追求していきます。

  • シグネチャーギターが登場
  • リバースヘッドや太めのネック
  • 多彩なカラーと仕様
  • 白ストラト「アヌーシュカ」愛用
  • 2025年に2億円で落札
  • 晩年はオイル缶ギターも使用

フィンガーピッキングとストラトキャスター

ジェフ・ベックのフィンガーピッキングは単なる技術にとどまらず、トーン・表現・演奏のすべてに深く結びついていました。

ピッキングと同時にトレモロアームを包み込むように使い、アームダウン、アームアップ、ビブラート、ハーモニクス、トーキングモジュレーターなど、あらゆる手段で「ギターを喋らせる」プレイを完成させていきました。

晩年は複数のストラトを楽曲ごとに使い分け、ブリッジのテンションやチューニング、ピックアップ設定などを詳細に調整し続けていました。

アルバム『Loud Hailer』ではオイル缶ギターを使ったスライド奏法も披露し、晩年まで表現の幅を広げ続けました。

ベックのギターは「道具」ではなく、「声」でした。晩年まで進化をやめることなく、ギターを通して心を伝える姿勢は、多くのギタリストに影響を与えています。

Flash期以降~使用ギターの一覧

使用時期ギター名使用曲音の特徴
1985年Jackson Soloist “Tina”People Get Ready
Ambitious
フロイドローズ搭載、力強いリード音
1989年~フェンダー・シグネチャー・ストラト(初期型)Guitar Shop 収録曲全般レースセンサーPU、太いUネック、TBX回路搭載
2001年~シグネチャー・ストラト(アップデートモデル)You Had It Coming、Jeff、Live at Ronnie Scott’sノイズレスPU、Cシェイプネック、LSRナット
1990年代後半~2023年白ストラト「アヌーシュカ」Live at Ronnie Scott’s 他多数バスウッドボディ、ローズ指板、トレモロ活用が自在
2000年代ギブソン・レスポール リイシューLes Paulトリビュートなど太くサステインのある音
2010年代グレッチ・デュオジェット、ノーキャスターRock ‘n’ Roll Party Tour 他ロカビリー的、鋭く軽快な音
晩年複数のカスタムストラト全ライブセットリスト仕様ごとに調整、微妙なニュアンスに対応

白のストラト「アヌーシュカ」

また、85年以降はジェフ・ベック・シグネチャーストラトキャスターの誕生と進化の歴史でもあります。

ジャクソン・ソロイストやフェンダー・ノーキャスター、そして自作ギターなど、晩年のベックはあらゆる音の可能性を試していました。

また、特に彼が愛した「アヌーシュカ」と名付けたストラトは、1990年代後半から2023年までのメインギターであり、ライブ、レコーディング問わず使用され続けました。

このギターは2025年、約2億円で落札されるほどの伝説的存在となっています。

2001年にシグネチャーモデルのアップデート

1989年に誕生したシグネチャーモデルは、2001年にアップデート。

シグネチャーストラトは進化を重ね、2001年以降のモデルでは太めのネック、LSRローラーナット、ノイズレスPU、シュパーゼルロッキングペグなど組み合わされ、ライブでもレコーディングでも安定したより滑らかで表現力のある演奏を可能にしました。

これらの活動は、機材を「使いこなす」のではなく、「自分の声に変える」姿勢を貫いた証です。

ギターとは何か、音とは何か。その問いに、最後まで挑み続けたのがジェフ・ベックでした。

晩年のベックは、音で会話をする“語り手”でした。

ジェフ・ベックのアコースティックギター

ジェフ・ベックは、エレキだけでなくアコースティックギターでも豊かな表現力を発揮しました。

とくにライブや録音で聴かれるその演奏は、繊細なタッチと情感にあふれたサウンドで、ファンを魅了してきました。

ここでは彼が使用した代表的なアコースティックギターと、その使用状況をまとめます。

使用時期ギター名使用曲音の特徴
1970年代~ギブソン L-5ライブ/地元のショップで借用ジャズ系の暖かいトーン
1990年代グレッチ・ランチャーカントリー調の曲で使用明るくパーカッシブな響き
2000年代グレッチ 6128 Duo Jet『Crazy Legs』収録曲クリスピーなロカビリーサウンド
2010年~Fender カスタムショップ製 アコギライブセッションナチュラルで透明感のあるトーン
近年ギブソン J-200風のモデルジョニー・デップとの共演など重厚かつ伸びのある低音

ギブソンL-5は、ジャズギタリストの王道モデルとして知られています。

ベックはこのギターを地元のショップでレンタルして使用したと語っており、「コードの響きがとにかく美しかった」と評価しています。

また、グレッチ・ランチャーはカントリーやロカビリーのサウンドに最適で、ベックのルーツを感じさせる演奏にしばしば登場しました。

アコースティックギターの演奏でもベックはピックを使わず、指の腹や爪先を使い分けて独自のニュアンスを生み出しました。

特にボリュームやサスティーンの変化を丁寧にコントロールすることで、エレキとは違う味わい深い表現が可能になっていました。

彼のアコースティックギター演奏は、ジャンルを問わず音楽の本質に迫るような感動を与えてくれます。

ジェフベックシグネチャーモデルとフェンダーとの関係

ジェフ・ベックとフェンダーの関係は、単なるギターの提供にとどまらず、音楽的哲学を共有した「共同開発者」としてのつながりに発展しています。

ジェフは自らの使用するギターに非常にこだわり、フェンダー・カスタムショップとも継続的に連携していました。

彼の白ストラト「アヌーシュカ」は、JWブラックが製作したネックとボディを組み合わせたカスタムモデルで、16年間にわたり主力ギターとして活躍しました。

また、カスタムビルダーのアート・エスパーザやトッド・クラウスとも深い信頼関係を築き、ライブやレコーディングに最適化された個体を共に設計していました。

このように、シグネチャーモデルは単なる「販売用ギター」ではなく、ベックの求めるサウンドとフィーリングを実現するための開発プロジェクトだったのです。

フェンダーとジェフ・ベックの関係は、ブランドとアーティストの理想的な関係の象徴とも言えるでしょう。

【シグネチャー・ストラトキャスター 比較表】

1991年に初代ジェフ・ベック・シグネチャー・ストラトキャスターが登場。彼の要望に応じて設計された仕様が多くのファンの注目を集め、2001年のアップデートモデルでは演奏性が大きく向上し、プロ・アマ問わず人気を集めました。

項目1991年 初代モデル2001年 アップデートモデル
特徴太いUシェイプのネックで重厚な音/
ゴールドのレースセンサーピックアップ/
TBXトーンコントロール搭載/
高い剛性とサスティーンを実現
薄いCシェイプネックと9.5インチラジアス/
ノイズレス・ピックアップを3基搭載/
2点支持トレモロとLSRローラーナット/
ヒールカットネックジョイントで高音域も快適
ネック形状Uシェイプ(太め)Cシェイプ(薄め)
指板ローズウッド/9.5インチRローズウッド/9.5インチR
ナットWilkinsonローラーナットLSRローラーナット
ペグSchaller ロックペグSchaller ロックペグ
フレット数2222
ブリッジ2点支持シンクロナイズド2点支持シンクロ+ステンレスサドル
ピックアップGold Lace Sensor(SSH)Hot Noiseless(セラミック・デュアルコイル)
トーン回路TBX回路+プッシュスイッチあり標準トーン/リアにも効く
ボディ材不明(Strat Plus系)アルダー
カラーバリエーションヴィンテージホワイト、サーフグリーン、ミッドナイトパープルオリンピックホワイト、サーフグリーン

他では読めない!ジェフ・ベックが使用したギターの裏話・逸話集

KOTOBUKI

「ジェフ・ベックのギターの逸話が知りたい」

ジェフ・ベックのギターには、音だけでなく“語られる物語”がたくさんあります。

今回は、あまり知られていない裏話や都市伝説、開発秘話を紹介します。

  • ステージで破壊された白ストラト伝説
  • カスタム工房での極秘調整
  • シグネチャーモデル開発時の舞台裏

ギターという道具に、どれだけの思いとストーリーを込めていたのか。

ここからは、その一端を垣間見るエピソードをご紹介します。

エスクワイヤーの購入と盗難被害

ヤードバーズ加入直後の1965年、ジェフ・ベックはウォーカー・ブラザーズとのツアー中に、ジョン・ウォーカーからフェンダー・エスクワイヤーを75ポンドで購入しました。

このギターにはストラトのようなコンター加工が施され、後に白いピックガードから黒に交換されました。

最初のヤードバーズツアー中に盗難被害に遭いますが、1週間後に無事回収。

ベックは「今もギターに指紋採取の粉が残っている」と笑って語っています。

後にセイモア・ダンカンのテレギブと交換されましたが、ベックは「やはり手放さなきゃよかった」と何度も後悔を語っています。

ストラトをぶつけて壊した?愛機にまつわる都市伝説

ジェフ・ベックとギターにまつわる逸話の中には、まるで都市伝説のように語られているものがあります。

ライブ中にストラトを叩きつけて壊したのはウソ

ジェフ・ベックには、「ライブ中にストラトを叩きつけて壊した」という噂が存在します。しかしそれは映画の演出でした。

映画『欲望(Blow-Up)』でのギター破壊シーンです。

ヤードバーズの一員として登場するこの場面では、派手にギターを壊しますが、実際に壊されたのがストラトキャスターだったのかは記録に残っていません。

また、ヤードバーズ時代に使用していたレスポールをアンプから落下させ、ネックを破損させたというのは実話です。こちは職人によって修理がされています。

ほかにも、グリーンカラーのフェンダー・シグネチャーストラトがステージ事故で真っ二つに割れた話も残されており、これは後に接着されてベックの自宅で保管されています。

Jackson Soloist「Tina」と「Tina」#2(オレンジ)

ティナ・ターナーとの共演時に使用したピンクのJackson「Tina」は、彼女が直接ボディに名前を彫ったことで有名です。

そのため「Tina」の名が付きました。

しかし、Kahlerユニットの音に満足できず「音が柔らかくバラける」と手厳しい評価も。

その後「Tina」に満足できず、Floyd Rose搭載のオレンジ色Soloist:Jackson Soloist #2(オレンジ)を使用。

Jackson Soloist #2(オレンジ)は『Flash』の録音に使われ、「このギターでしか出ない音がある」と気に入っていたようです。

Gretsch Rancherの逸話

ジーン・ヴィンセントのギタリストが火薬を仕込まれていたという逸話に触れ、自身も「真似して穴を開けようかな」と冗談交じりに話したことがあります。

幸い、それは実行されませんでした。

Maccaferriプラスチックギター

幼少期、ジミー・ペイジから贈られた3/4サイズのマカフェリ・プラスチックギター。

ベックは「とても誇りに思っていた」と語っています。

「ギター虐待防止協会の指名手配犯」と自らを揶揄

本人は「道具を壊すのは嫌い」と語っていますが、ギターを道具として捉えていたものの、時に過激な奏法で知られていました。

実際には意図的ではなく、音に集中するあまり“事故”のように起こったと言われています。

ドライバーで弦を擦ったり、コーヒー缶を使ったり、マクドナルドの紙ナプキンをピックアップにのせたりと、常識を超えたアプローチで音を探し続けていたのです。

「ギター虐待防止協会の指名手配犯」と自らを揶揄するユーモアも、彼らしさの一部でした。

破壊ではなく、限界までギターを追い込む姿勢こそ、ベックの演奏スタイルを象徴しています。

ベックはギターに話しかけていた

あるライブでは、ベックがトレモロを強く引いた瞬間、ギターのネックが床に激突。そのまま演奏は続けられたものの、後にそのストラトは分解され、使われなくなったと言われています。

スタッフによれば「ベックはギターに話しかけていた」との証言もあり、彼にとって楽器は“生き物”でした。

こうしたエピソードは、音楽に対する真剣さと愛情の深さを物語っています。

あなたのギターにも、いつかこうした“伝説”が刻まれていくかもしれません。

壊れたギターに「ごめん」と言えるのがベックなんです。

トークボックスの由来

使用していたトーキング・モジュレーターは、スティーヴィー・ワンダーからの贈り物でした。

「みんな使い出したら嫌だから控えめに使った」と冗談交じりに語っています。

トレモロ・スプリングのこだわり

ストラトのアームスプリングは5本すべてを使用。

アームダウン:アームアップが7:3になるようにセッティングされていました。

工房スタッフの証言から見るカスタムの実態

ジェフ・ベックのギターは、ほとんどが“特別仕様”でした。フェンダーのカスタムショップや個人の工房で、細かな微調整が加えられていたのです。

ジェフ・ベックのギターには、彼自身のこだわりだけでなく、多くの職人たちの工夫と判断が加えられています。

ヤードバーズ時代のレスポールの改造後の手触りには満足してなかった

1966年にロンドンで購入したレスポールは、最初白いハムバッカーと黒いピックガードを備えていました。

のちにトップ塗装を剥がし、ナチュラルなブロンド仕様に改造。

ヤードバーズ時代のレスポールはネックが破損した後、

実はその理由が1970年代初頭にアンプの上から落としてネックが折れてしまいったから!

職人によって修復時には薄いネックに変更され、「JB」の刻印も施されました。またPAFピックアップも許可なく交換され、ベックは「改造後の手触りには満足してなかった」と振り返っています。

改造ギターの数々が名機に

また、「オックスブラッド」として知られるレスポールも、ある依頼者のために再塗装・改造されたものの、本人の好みに合わず市場に出た一本でした。

1973年、BBAのレコーディング中にメンフィスの楽器店で出会ったこのギターは、もともと1954年製のゴールドトップ。深いブラウンに再塗装され、P-90からPAFに交換、ネックにも手が加えられていました。

「ある顧客向けに改造されたが、気に入らず売りに出された」という経緯を持つ一本。

『Blow by Blow』のジャケットで象徴的に使用され、ジェフ・ベックの代名詞となった名器です。

セイモア・ダンカンが手掛けた「テレギブ」も、ベックのために生まれた改造ギターの代表例です。

このように、ジェフのギターは単なるオーダーメイドではなく、時に偶然や第三者の意思で形作られていきました。

フェンダーのシグネチャー・ストラトには、J.W.ブラック、トッド・クラウス、グレッグ・フェスラーなど、名工たちが関わり、通常のストラトとは一線を画すスペックに仕上げられています。

中にはボディとネックが異なる年式・個体から組み合わされたものもあり、実用性重視の発想が見て取れます。

一方、日本のグレコが製作した「TL68-75BC」モデルも、ベックのスタイルを反映したユニークな仕様で話題を呼びました。

ジェフ・ベックのギターたちは、製作者たちの工夫と試行錯誤が刻まれた、生きた「作品」と言えるでしょう。

フレイムトップのレスポール

1968年にリック・ニールセンから350ドルで購入したこのギターは、当初Bigsbyトレモロが付いていましたが、ベック自身が取り外しました。

しかし、この貴重なフレイムトップは60年代後半に盗難に遭い、戻ってくることはありませんでした。

ジェフ・ベックのギター改造のポイント

  • 弦高やナット幅の細かい調整
  • ピックアップの配置を変更
  • ローラーナットは何度も再設計
  • ネックの太さは指に合わせ調整
  • 「言わなくても伝わる職人技」が必要

ある工房スタッフは「ベックは一切仕様を口にしない。けれど試奏で“何かが違う”とすぐに分かる」と語っています。

そのため、現場では“感覚”で理解し合うことが求められたそうです。

量産モデルとはまったく違う、職人との信頼関係で築かれたサウンドがありました。

ギターという楽器の「個体差」と「使い手の個性」を融合させた結果が、あの音だったのです。

あなたも、ギターを“相棒”として扱う姿勢から、音が変わっていくかもしれません。

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ベックと職人の関係は「音の共作」でした。

Ibanezかフェンダーか?シグネチャーモデル開発時の秘話

このモデルの誕生は、ジェフ・ベックの経験、個性、そして道具への深い理解があったからこそ実現した特別なギターの物語です。

ジェフ・ベックのフェンダー・シグネチャーモデルは、数々のドラマと工夫の末に誕生しました。その過程には、開発陣とベック本人の「理想の音」への強いこだわりがあったのです。

フェンダーから開発オファーを受けた際、ベックは「「フェラーリみたいな完璧なギターに何を足せばいいんだ」とと疑問を持っていたそうです。

Ibanezからの熱心なアプローチ

80年代初頭にアイバニーズを展開する星野楽器がベックに熱烈なシグネチャーモデル製作のオファーを送ったことがあり、この時期の来日公演でアンコール時にアイバニーズのプロトタイプと思われるギターを演奏したそうです。

このことは来日公演での記録も残っています。

しかし、その話は実現せず、最終的にはストラトキャスターのトーンを求めてフェンダーとの道を選びました。

  • ベック本人が全試作を試奏
  • 「手にしっくりくる」が最重要
  • ボリュームノブの配置に異常なこだわり
  • リバースヘッドの角度も微調整
  • 見た目より「感覚」を重視

ジョン・マクラフリンから譲り受けたストラトから

ベックのシグネチャーモデルの基盤となったギターは、ジョン・マクラフリンからの贈り物である60年代のストラトキャスターだと言われています

1991年に登場した初期モデルは、ストラト・プラスをベースにベックがカスタムオーダーした仕様が反映されており、アメリカン・グラフィティの車と同じカラーを希望したという逸話も残っています。

映画『アメリカン・グラフィティ』に登場するフォードと同じカラーリングをオーダーしたという具体的なエピソードも語られています。

極太ネック、Lace Sensorピックアップ、TBXコントロール、アーム可動域のカスタムなどは、すべて彼のプレイスタイルにあわせて調整されたものです。

スパーゼル製ロック式ペグ、ウィルキンソン製ローラーナット、コンタード・ネック・ヒール、デュアル・シングルコイル・ピックアップとコイル・スプリットスイッチ、22フレット指板、2点支持シンクロナイズド・トレモロといったモダンなスペックが採用されました。

親指がギリギリ届くネックグリップ

Lace SensorピックアップとTBXコントロール、そして特に極太のネック、トレモロのアームダウン/アップ比率を最大7:3に設定できるカスタムなどが、彼の指弾きスタイルや独特の表現に対応するために組み込まれた要素だと考えられています。ネックグリップについては、親指が指板端に「やっとかかるくらい」というベック自身の具体的な要望が反映されています

その後のアップデート

その後のアップデートではさらに仕様が洗練され、フェンダーのクラフツマンたちの技術とベックの音楽哲学が融合したモデルへと進化しました。

特にローラーナットを選んだ理由の一つに、ハーモニクス時のナット摩擦音を抑える目的があったとされています。また通常のストラトでは効かないリアPUにもトーンが効くよう、特別な配線が施されていました。

そかしその一方で、フェンダーカスタムショップが発売した高額モデルに関しては、本人も「よく分からない」と語っていたことから、あくまで現場主義の彼らしさがうかがえます。

開発に関わったフェンダーのスタッフは「ベックの要求は言葉ではなく感覚」と語ります。

完成品を渡しても「うん、今日は合ってる」としか言わないこともあったそうです。

それでも演奏を見れば、そのギターに満足しているかどうかが明確に伝わってきたといいます。

こうして誕生したシグネチャーモデルは、世界中のギタリストに「音で話す感覚」を教えてくれる存在になりました。

あなたもこのモデルを通して、ベックが音に託した“感覚”を感じ取ってみてください。

初期はかなり細い弦を使用しており、「指先の肉が弱いからだ」と本人がコメントしています。

ベックは“手の感覚”でギターを選んだ人でした。

まとめ|ジェフ・ベックのギターから“あなた”が得られること

ジェフ・ベックのギターは、ただうまく弾くだけでは再現できません。

そこには、音に向き合う姿勢、感情を乗せる力、そして何より“自分だけの音”を探す旅がありました。

ベックのギターは「何を弾くか」ではなく、

「どう向き合うか」を教えてくれました。

ジェフ・ベックの演奏を真似してもうまくならない——それは、多くのギタリストが感じていることです。

なぜなら彼の音には、“内面”がそのまま映っていたからです。

技術やフレーズの真似ではなく、「自分なら何を感じてどう弾くか」を問い続ける姿勢。

それが、ジェフ・ベックの音の本質でした。

あなたも、どんな機材を使うか、どんな曲をコピーするか以上に、
“どんな音を鳴らしたいか”を考えてみてください。

ギターは、あなたの声になり、感情になり、思考になります。

そしてその旅は、誰かのコピーではなく“あなたの物語”として続いていきます。

KOTOBUKI

ジェフ・ベックが教えてくれたのは、
「ギターは、あなた自身を映す鏡」ってことでした。

おまけ:今から手に入る!ジェフ・ベック風ギター&機材一覧(国内通販リンク付き)

ここでは、ジェフ・ベックに近いサウンドを目指すためのギターや機材を、現在国内で購入できるものから厳選して紹介します。

「まずは触れてみたい」「似た機材で練習したい」という方にもぴったりなアイテムを中心にまとめました。

KOTOBUKI

ベックの音は唯一無二だけど、

“入り口”は案外、手の届くところにありますよ。

ギター編|ジェフ・ベック的なタッチを体感できるモデル

アンプ/モデリング機器編|“タッチ”を活かすセッティングに

ピックアップ/改造パーツ編|さらにベックに近づくカスタム

予算や目的に応じて、少しずつ機材を揃えるのも楽しみのひとつ。

まずは「音に向き合う姿勢」をジェフ・ベックから学びながら、機材もあなた流に揃えてみてください。

KOTOBUKI

大切なのは機材よりも、
「音をどう鳴らすか」ですよ。

ジェフ・ベックが使用した主なギター/アンプ/エフェクターを見やすくカテゴリ別一覧表にまとめました。製品名は簡潔にし、現在も入手可能なモデルやレプリカがある機材を中心に記載しています。

おまけ:今から手に入る!ジェフ・ベック風ギター&機材一覧

【ジェフ・ベック使用機材 一覧表】

種類モデル名・仕様補足情報
テレキャスター系Fender Esquire(改造)ヤードバーズ初期、テレギブの元
レスポール系Gibson Les Paul 1959年製ナチュラル/サンバースト両方あり
レスポール系Gibson Les Paul “オックスブラッド”1954年製BBA期などで使用、限定シグネチャー化
ストラトキャスター系Fender Stratocaster 各色白、サンバースト、ナチュラルなど時期で変化
ストラトキャスター系Jeff Beck Signature Stratocasterフェンダー正規シグネチャー、複数回改良
テレキャスター系テレギブ(Tele-Gib)SH-2 / SH-4搭載、ダンカン製作
ストラトキャスター系Jackson Soloist『Flash』期で短期間使用
特殊ギターRoland GR-500ギターシンセ、来日公演など
フルアコGibson ES-175トリビュートライブで使用
特殊ギターOil Can Guitar(O.I.L.)『Loud Hailer』期に登場

アンプ

ブランドモデル名使用時期・用途
VOXAC30ヤードバーズ期
MarshallSuper Lead / JCM 他グループ期以降メイン
SUNNColiseumBBA期や第2期グループ期
FenderTwin Reverb / Dual Showman各時代で併用
Orange第1期グループ期
MagnatoneBecktone近年のライブ
FenderVibro-King2013年頃
LeslieSpeaker Unit第2期グループ期で使用

エフェクター編

分類モデル名使用時期/備考
ファズTone Bender MK.I〜IIヤードバーズ期、SUPA Fuzzも
ワウCry Baby / Super Bawl Wahキャリア全体
ブースト系Colorsound Power Boost70年代中心
モジュレーション系Talking ModulatorBBA〜Wired期、Stevie Wonderより
オクターバーColorsound Octavider『Wired』期など
フランジャーTycobrahe PedalflangerWired期・ライブ使用
リングモジュレーターColorsound Ring ModulatorWired期
エコー系Roland RE-201/501『There and Back』期など
オーバードライブBOSS OD-180年代使用
ディストーションProco RAT『Guitar Shop』期
ロータリースピーカー系Hughes & Kettner Rotosphere / VENTILATOR II2000年以降
トレモロEmpress Tremolo 22019年以降
ファズMXR Variac Fuzz2016年以降
オーバードライブJoRockett Archer2016年頃
オクターバーBOSS OC-32016年頃
フランジャー他BOSS BF-2 / LS-22000年代中頃
オクターバーEBS Octabass2000年代中頃
複合Klon Centaur / Aqua-Puss / Carbon Copy2013年頃
リバーブ/ディレイLexicon Reflex2013年頃
電源供給VooDoo Lab Power 2 Plus2013年ペダルボード
ピックアップSeymour Duncan SH-2 / SH-4テレギブ搭載、現在も販売中
チューナーPeterson Strobe Tuner精密チューナー、プロ定番

※この一覧は一部に過ぎませんが、ジェフ・ベックの音作りの基盤がいかに機材と深く関係していたかがわかります。入手可能な製品も多く、現代のプレイヤーが“あの音”を目指す上での参考になるはずです。

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