【大河で話題】マテウス・アサトとは?経歴・年齢・国籍・経歴と音楽ルーツを徹底解説

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日曜の夜8時。大河ドラマ「豊臣兄弟!」のエンディングが流れ、画面に広がる日本各地の風景――その上に、たった一本のギターが歌い始めた。

俺はソファに座ったまま、リモコンを握る手が止まった。

速弾きじゃない。ディストーションをガンガンに歪ませた轟音でもない。なのに、胸の奥がざわつく。エレキギターから、こんなにも人間の声みたいな音が出るのかと、25年ギターを弾いてきた俺の常識がひっくり返った瞬間だった。

すぐにスマホで検索した。「大河紀行 ギター 誰」――出てきた名前が、マテウス・アサト(Mateus Asato)だ。

同じ衝撃を受けた人は、俺だけじゃなかった。

「マテウス・アサト(Mateus Asato)様の大河紀行Iのギターの音が素晴らしい。ファンへの激励でもあると感激感涙しております」

――テレビ王国の視聴者コメントだ。「感激感涙」という言葉が大げさに聞こえないくらい、あの音には有無を言わさぬ説得力がある。

「心が癒されるような静かな趣の曲。これからの時代を担っていくべき素晴らしいギタリスト」

――こちらはギターブログでの評価。ギターファンも、そうでない人も、同じ感想に辿り着いている。

この記事では、「マテウス・アサト(Mateus Asato)とは何者なのか」を、ギター歴25年の俺が徹底的に掘り下げる。プロフィール、音楽ルーツ、演奏スタイル、日本との深い縁――読み終わる頃には、きっとYouTubeを開いて彼のギターを聴きたくなるはずだ。

目次

マテウス・アサトとは?基本プロフィールまとめ

まずは「この人、そもそも誰?」という疑問に答えよう。テレビで名前を見て検索してきた人も多いだろうから、基本情報をサクッと整理する。

年齢・国籍・出身地――沖縄ルーツの日系ブラジル人

マテウス・アサト(Mateus Asato)は、1994年12月29日生まれの31歳。国籍はブラジルで、南米大陸のほぼ中央に位置するカンポグランデ(Campo Grande)という都市の出身だ。

「アサト」という名字でピンときた人もいるかもしれない。そう、父方の祖父母が沖縄の「安里(あさと)」出身の日系移民なんだ。ブラジルには世界最大の日系コミュニティがあるが、マテウスもそのルーツを持つ一人。見た目がアジア系なのも、そういう背景がある。

え、日本人じゃないの!? 名前も顔もめっちゃ日本っぽいのに!

KOTOBUKI

日系ブラジル人だ。沖縄の「安里」がルーツで、のちにデビューアルバムのタイトルにもその名前を冠している。日本への想いは相当深いぞ

経歴を1分で把握――9歳でギターを始め、世界的ギタリストへ

マテウス・アサトの歩みを、年表形式で一気に振り返ろう。

スクロールできます
出来事
2003年(9歳)ギターを始める。地元の教会で演奏を学ぶ
2010年(15歳)ブラジル全国ギターコンテストで800人の頂点に
2013年(19歳)単身渡米。Musicians Institute(MI)に入学
2014年MI主席卒業。SNSへのギター動画投稿を本格化
2015年Tori Kellyのツアーギタリストに抜擢
2017年Jessie Jのツアーに参加
2018〜2019年ブルーノ・マーズのツアーに帯同
2025年ソロデビューアルバム『ASATO』をリリース
2026年NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」大河紀行のギター演奏を担当。8月に日本ツアー決定

9歳でギターを手にした少年が、20年あまりで大河ドラマの音楽を奏でるギタリストになった。この経歴だけでも十分すごいが、その道のりは決して平坦じゃない。ここから先で、一つひとつ掘り下げていく。

なぜMateus Asatoが大河ドラマに抜擢?「豊臣兄弟!」大河紀行との関係

多くの人がマテウス・アサト(Mateus Asato)の名前を知ったきっかけは、やっぱり大河ドラマだろう。まずはこの話から始めよう。

大河紀行「大河紀行I」のギター演奏を担当

2026年1月にスタートしたNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」。そのエンディング後に流れる「大河紀行」コーナーの挿入曲で、マテウス・アサトがギター演奏を担当している。

この楽曲「大河紀行I」は、ドラマのサウンドトラックVol.1に収録されている。彼のソロデビューアルバム『ASATO』とはまったくの別作品だ。大河の壮大な世界観と、アサトの「歌うギター」が見事に融合した一曲になっている。

冒頭でも紹介したが、視聴者の反応を改めて見てほしい。

「マテウス・アサト様の大河紀行Iのギターの音が素晴らしい。ファンへの激励でもあると感激感涙しております」(テレビ王国

「心が癒されるような静かな趣の曲。これからの時代を担っていくべき素晴らしいギタリスト」(ギターブログ)

ギターのことを特別好きでもない人たちが「感涙」と書く。それがどれほど異常なことか、ギタリストなら分かるだろう。普通、エレキギターのインスト曲を聴いて泣くなんてことは、そうそう起きない。

ギターファン以外の心も掴んだ――世間の反応

大河ドラマという「お茶の間メディア」での露出は、マテウス・アサトの知名度を一気に押し上げた。それまでギター好きの間では知られた存在だったが、2026年に入ってからは一般層にも急速に浸透している。

その証拠に、ギター・マガジン2026年4月号では表紙を飾り、こう評されている。

「エモーショナルかつ繊細で美しいコード・ワークとフィジカル的な強度をあわせ持つ大胆なフレージング。その本質はジェフ・ベックやジミ・ヘンドリックスから受け継がれる情感豊かな”歌心”にあり」(ギター・マガジン2026年4月号)

ジェフ・ベック、ジミ・ヘンドリックスの名前が出てくる時点で、ギタマガがどれほど高く評価しているかがわかる。これはギター界における最上級の賛辞だ。俺みたいに速弾きばかり追いかけてた人間からすると、「歌心」という言葉の重みが年々増してくる。

Mateus Asatoの音楽ルーツ――ブラジルの教会から世界へ

マテウス・アサト(Mateus Asato)の「歌うようなギター」は、一朝一夕で生まれたものじゃない。そのルーツを辿ると、ブラジルの小さな教会に行き着く。

教会での演奏が「歌心」の原点

マテウスが9歳でギターを始めた場所は、地元カンポグランデのFirst Baptist Church(ファースト・バプティスト教会)だった。

「カンポグランデのFirst Baptist Churchで育ち、教会での演奏が確かな音楽的バックグラウンドを与えてくれた」(公式サイト

教会音楽というのは、ギタリストの育成環境として実はものすごく優れている。理由はシンプルで、「歌に寄り添う」ことが大前提だからだ。

讃美歌の伴奏では、自分が目立つ必要はない。歌う人の声を引き立て、会衆の祈りに寄り添う音を出すことが求められる。速く弾く必要もなければ、派手なソロを決める場面もない。ひたすら「歌のための音」を探し続ける環境――これが幼少期のマテウスの日常だったわけだ。

俺なんか、9歳の頃はゲームに夢中で、ギターの「ギ」の字も知らなかった。仮に同じ年齢でギターを始めていたとしても、きっとメタリカのコピーに走ってたと思う。教会で「歌心」を育むなんて発想は、逆立ちしても出てこなかっただろうな。

ブラジルのギターヒーローたちからの影響

教会で音楽の基礎を身につけたマテウスは、やがてブラジル国内のギターシーンに夢中になっていく。特に影響を受けたのが、Juninho Afram(ジュニーニョ・アフラン)Kiko Loureiro(キコ・ルーレイロ)Edu Ardanuy(エドゥ・アルダヌイ)といったブラジルのトップギタリストたちだ。

なかでもJuninho Aframが在籍していたOficina G3は、マテウスにとって特別な存在だった。2020年、Oficina G3のライブストリームにゲスト出演したマテウスは、こう語っている。

「2004年のあの夢見がちな少年に、この動画を見せに戻りたい」(Guitar World

10歳の自分に見せたい――その言葉に、少年時代の憧れがどれほど強かったかが詰まっている。ギターを弾く人間なら、誰にだって「あのギタリストみたいになりたい」と思った原体験があるはずだ。マテウスにとっての原体験が、ブラジルのギターヒーローたちだったんだな。

80〜90年代ギターヒーローへの傾倒

ブラジルのギタリストたちに加えて、マテウスは80〜90年代のアメリカン・ギターヒーローにも強い影響を受けている。Joe Satriani(ジョー・サトリアーニ)Eddie Van Halen(エディ・ヴァン・ヘイレン)Paul Gilbert(ポール・ギルバート)John Petrucci(ジョン・ペトルーシ)――名前を並べるだけで胸が熱くなるラインナップだ。

アサトって今のスタイルからは想像できないけど、もともとはバリバリのテクニカル系が好きだったんですね

そうなんだ。速弾きの洗礼を受けたうえで、あえて「歌うスタイル」に辿り着いてる。だから音に深みがあるんだよ。テクニックを知ったうえで引き算ができる人間は強い

ここが重要なポイントだ。マテウス・アサトは「テクニックがないから歌に逃げた」わけじゃない。テクニカルなギターを通過したうえで、歌心にたどり着いた。この順番が、彼の音楽に説得力を与えている。

キャリアの歩み――SNSから世界のステージへ

音楽的ルーツを理解したところで、マテウス・アサトが実際にどうやって世界的ギタリストへの階段を上っていったのか、その足跡を追っていこう。

ブラジル全国コンテストで800名の頂点に

2010年、15歳のマテウスは「Double Vision Contest」というブラジル全国規模のギターコンテストに出場する。参加者は約800名。結果は――優勝

15歳で800人のギタリストの頂点に立つ。これがどれほどのことか、ギターをやっている人間なら肌感覚でわかるだろう。俺が15歳の頃は、Fコードを押さえるのに四苦八苦していた。比べるのもおこがましい話だが、才能の差というのは残酷なほど明確だ。

ただし、才能だけで800人は勝ち抜けない。教会で培った音楽的素養と、ブラジルのギターヒーローたちから吸収したテクニック。その両方があったからこそ、15歳にしてブラジル一になれたんだ。

Musicians Instituteで主席卒業――19歳で単身アメリカへ

ブラジル国内での成功に満足しなかったマテウスは、2013年、19歳で単身アメリカに渡る。行き先はロサンゼルスの名門音楽学校Musicians Institute(MI)

ここでひとつ、衝撃的な事実がある。

「英語がまったく話せなかった。SNSにギター動画を投稿し続けたことが世界中の注目につながった」(ORICON NEWS・Fenderイベント)

英語がまったく話せない状態で、19歳が単身渡米した。これだけで俺はもう尊敬する。言葉が通じない国で、音楽だけを武器に勝負しようとした覚悟。「死ぬほど遠回りしてからが本番」と日頃偉そうに言っている俺だが、マテウスの場合は遠回りどころか、言葉の壁をギター一本で突破している。

結果、MIを主席で卒業。言葉が通じなくても、音で語れる人間は最強だということを証明してみせたわけだ。

Tori Kelly → Jessie J → ブルーノ・マーズ――トップアーティストのそばで磨いた実力

MI卒業後のマテウスのキャリアは、まるでロケットのように加速していく。

2015年、グラミー賞ノミネートシンガーTori Kelly(トリ・ケリー)のツアーギタリストに抜擢。2017年には、イギリスの歌姫Jessie J(ジェシー・ジェイ)のツアーに参加。そして2018〜2019年、世界最高峰のエンターテイナーブルーノ・マーズのツアーに帯同した。

ブルーノ・マーズのステージといえば、Rock In Rioでの圧巻のパフォーマンスや、グラミー賞授賞式での演奏が思い浮かぶ。世界中の数万、数十万の観客の前で、ミスが許されない一発勝負のステージ。そこでギターを弾き続けた経験が、マテウスの「度胸」と「精度」を鍛え上げたことは間違いない。

サポートギタリストとして超一流アーティストのそばで演奏するということは、「自分が主役じゃない音楽」を徹底的に学ぶということでもある。教会で「歌に寄り添う音」を学んだ少年が、世界最高のステージで「アーティストに寄り添う音」を極めた。この流れが、のちのソロ活動に繋がっていくんだ。

SNSが切り拓いた新しいギタリスト像

マテウス・アサトのキャリアを語るうえで、SNSの存在は絶対に外せない。

Instagramのフォロワー数は約164万人、YouTubeのチャンネル登録者数は約79.7万人(2026年3月時点)。ギタリストとしては異例の数字だ。Guitar World誌のランキングでも常連で、SNS時代を象徴するギタリストとして評価されている。

特にTikTokでの影響力は凄まじい。

「Nothing’s Gonna Change My Love For You」のギターカバー動画が31.4万いいねを獲得。「ギターで泣ける」の声が殺到(TikTok)

31.4万いいね。ギターのインスト動画で、だ。歌もなければ、派手なパフォーマンスもない。ただギターを弾いているだけの動画に30万以上の「いいね」がつく。この事実が、マテウス・アサトという存在の異質さを物語っている。

彼が使用するエフェクターブランドBondi Effectsの製品が高騰するなど、機材面でも影響力は絶大だ。

一方で、こんな声もある。

「マテウス・アサトって正直テクニック的にはそこまでじゃない。SNSで映える弾き方がうまいだけ」「同じようなフレーズが多い」(SNS上の声)

こういう否定的な声が出ること自体、注目度が高い証拠でもある。この点については、後の「演奏スタイル」のセクションで俺なりの考えをしっかり述べるから、少し待っていてほしい。

マテウス・アサトの演奏スタイル――なぜ「ギターが歌う」と言われるのか

ここからが本丸だ。マテウス・アサトの音楽を語るとき、必ず出てくるフレーズがある。「ギターが歌っている」――では、その「歌」とは具体的に何なのか。25年ギターを弾いてきた俺の耳と経験で、紐解いていこう。

テクニック=速弾きではない。アサトの「歌心」の正体

まず、世界がマテウス・アサトをどう評価しているかを確認しよう。

あのジョン・メイヤーが、アサトをこう称賛している。

「現代最高のギタリストの一人(one of the best guitar players around)」(ジョン・メイヤー)

ジョン・メイヤーといえば、自身もグラミー賞を複数回受賞したギタリストであり、シンガーソングライターだ。その人物が「現代最高のギタリストの一人」と言い切る。これは軽い言葉じゃない。

そしてマテウス本人は、自身の音楽についてこう語っている。

「メロディがいちばん大切。そのために必要なテクニックを身につけた」(ORICON NEWS・Fenderイベント)

テクニックはメロディのためにある。この発想が、アサトの「歌心」の正体だ。速く弾くためのテクニック、目立つためのテクニックではなく、「伝えたいメロディを正確に届けるための手段」としてテクニックを捉えている。

彼は自分の音楽を「絵画に近い」とも表現している。一つひとつの音が筆の一筆で、それが集まって一枚の絵になる――そういう感覚でギターを弾いているんだろう。

速弾きしてないのにすごいの? 俺、速い方がカッコいいと思ってたんだけど

テクニックを速さだけだと思ってる時点で、半分しか見えてないぞ。アサトの音を聴いてみろ。速くないのに鳥肌が立つ。それが本物のテクニックだ

ネット上でも、ギターファンたちはこう感じている。

「この人はギターヒーローっていう感じがする。泣けるのだ」「メタルが全盛で速弾きの人がギターヒーローだった時代から変わった」(アメブロ

「速弾きの人がギターヒーローだった時代から変わった」――この一言に、ギターの世界で今起きている大きな変化が凝縮されている。そして俺自身も、まさにこの変化を体感してきた一人だ。

ギター・マガジンが位置づけたMateus Asatoは「ジェフ・ベック、ジミヘンの系譜」

マテウス・アサトの音楽的立ち位置を、日本のギター専門誌ギター・マガジンは明確に定義している。

「エモーショナルかつ繊細で美しいコード・ワークとフィジカル的な強度をあわせ持つ大胆なフレージング。その本質はジェフ・ベックやジミ・ヘンドリックスから受け継がれる情感豊かな”歌心”にあり」(ギター・マガジン2026年4月号)

ジェフ・ベックジミ・ヘンドリックス。この二人は「ギターで歌う」ことの始祖とも言えるレジェンドだ。ジェフ・ベックはピックすら使わず、指だけでギターから人間の声のような音を引き出した。ジミ・ヘンドリックスは、エレキギターそのものの表現の限界を押し広げた。

マテウス・アサトがその系譜に位置づけられるということは、単に「上手い若手ギタリスト」という評価ではなく、ギターの歴史の中で特別な場所にいるということを意味している。

ギタマガの評にある「フィジカル的な強度をあわせ持つ大胆なフレージング」という表現も見逃せない。繊細なだけじゃなく、力強さも兼ね備えている。このバランス感覚こそが、アサトが唯一無二と言われる所以なんだ。

「テクニックがない」という声に、25年ギターを弾いてきた俺が答える

さて、ここで先ほど保留にしておいた話題に触れよう。SNS上にはこんな声もある。

「マテウス・アサトって正直テクニック的にはそこまでじゃない。SNSで映える弾き方がうまいだけ」「同じようなフレーズが多い」(SNS上の声)

25年ギターを弾いてきた人間として、はっきり言わせてもらう。

これは「テクニック」の定義が狭すぎる。

テクニックを「速弾きの速度」や「難易度の高いフレーズを弾けるかどうか」だけで測る人がいる。気持ちはわかる。俺も20代の頃はそうだった。イングヴェイやポール・ギルバートの速弾きに憧れて、16分音符の速度だけを追いかけていた時期がある。

でも、25年弾き続けてようやくわかった。テクニックとは「自分が出したい音を、正確に出せる能力」のことだ。速く弾くのもテクニック。でも、たった一音で人を泣かせるのも、とんでもないテクニックなんだ。

マテウス・アサトの音を聴いてほしい。一音一音のビブラートの深さ、チョーキングのピッチの正確さ、音の立ち上がりと消え際のコントロール。これらは、速弾きとはまったく別次元のテクニックだ。むしろ、ごまかしが効かない分、より高度だとすら言える。

ギター講師の視点からも、こんな声がある。

「生徒さんにマテウス・アサトを教えていただきました。新しいギターの可能性を感じる」(ギター講師ブログ)

プロのギター講師が「新しい可能性」と表現するくらいなんだ。「テクニックがない」という評価は、木を見て森を見ていない。

俺自身も、かつては「速弾きこそ正義」と思い込んでいた。死ぬほど遠回りして、ようやく「歌心」の大切さに気づいた。だからこそ、マテウスのように最初から「歌」を大切にしてきたギタリストのすごさが、痛いほどわかるんだ。

日本との深い縁――「安里」の名を世界に響かせるギタリスト

マテウス・アサトと日本の関係は、単なる「日系人だから」では片づけられない深さがある。彼の音楽活動の随所に、日本への敬意と愛情がにじみ出ている。

デビューアルバム『ASATO』――沖縄の「安里」を冠した意味

2025年にリリースされたソロデビューアルバムのタイトルは、ずばり『ASATO』。自分の名字をそのままアルバム名にした、その理由を本人はこう語っている。

「アルバムタイトル『ASATO』は父方の祖父母が沖縄出身(安里)というルーツに由来。『ポップ好きにはオタク寄りで、オタクにとってはポップ寄り(笑)』」(Yahoo!ニュース

世界デビューの一枚目に、沖縄のルーツを刻んだ。これはただの名前の引用じゃない。自分がどこから来たのかを、音楽を通じて世界に宣言したということだ。

「ポップ好きにはオタク寄り、オタクにとってはポップ寄り」という自己分析も面白い。ギターオタクが聴くとメロディの美しさに惹かれ、ポップス好きが聴くとギターのテクニカルさに驚く。どちらの入口からでも楽しめる音楽を作っている自覚があるんだな。

ドラゴンボール、スピッツ、沖縄――日本文化への深い親しみ

マテウスの日本への親しみは、音楽だけにとどまらない。

TikTokに投稿したドラゴンボールZトリビュート動画3.36万いいねを獲得。ブラジルではドラゴンボールの人気が非常に高く、マテウスも子供の頃から親しんできたのだろう。ギターでドラゴンボールの世界を表現する――日系ブラジル人ならではの、文化の交差点にいる彼だからこそできる表現だ。

また、日本のロックバンドスピッツの楽曲をカバーしたこともある。スピッツの草野マサムネが紡ぐ繊細なメロディを、アサトのギターが歌い上げる。日本の音楽を深く理解していなければ、あのニュアンスは出せないはずだ。

沖縄にルーツを持ち、ドラゴンボールで育ち、日本の音楽をリスペクトする。マテウス・アサトにとって日本は「ルーツのある遠い国」ではなく、自分のアイデンティティそのものなんだろう。

2026年8月、日本ツアー決定――大阪・名古屋・東京

2026年8月、マテウス・アサトの日本ツアーが決定している。

会場は大阪・名古屋・東京の3都市。大河ドラマでの知名度上昇を追い風に、日本のファンの前で直接演奏を届ける機会がやってくる。

正直に言う。俺は行く。何が何でも行く。25年ギターを弾いてきて、「この人のライブだけは絶対に生で観たい」と思えるギタリストに出会えることは、そう何度もあることじゃない。画面越しであの音に胸を打たれたなら、生音を浴びたらどうなるのか――想像するだけで指が震える。

大河ドラマで初めて名前を知った人も、この機会を逃さないでほしい。あの「大河紀行」の音を、ステージの上から直接受け取れるんだ。

マテウス・アサトの人物像――ステージを降りた素顔

ギタリストとしてのマテウス・アサト(Mateus Asato)については十分語ってきた。ここからは、ステージを降りた一人の人間としての素顔に触れよう。

ブラジルの人気インフルエンサーMaju Trindadeとの結婚

2024年2月、マテウス・アサトはMaju Trindade(マジュ・トリンダージ)と結婚した。

「2024年2月、Maju Trindadeとバイーア州で結婚。約130名の親密なゲストを招いた式」(CNN Brasil

Maju Trindadeはブラジルで人気のインフルエンサー・女優で、SNSでの影響力も大きい。結婚式はブラジル北東部のバイーア州で行われ、約130名の親しいゲストが招かれたという。

派手な大規模ウェディングではなく、「親密なゲスト」を招いたというところに、マテウスの人柄が垣間見える。世界的ギタリストとしての華やかさと、プライベートでの落ち着いた温かさ。このギャップも、ファンが彼に惹かれる理由のひとつだろう。

「メロディがいちばん大切」――本人の言葉に見える哲学

マテウス・アサトの音楽哲学を最もよく表す言葉が、これだ。

「メロディがいちばん大切。そのために必要なテクニックを身につけた」(ORICON NEWS・Fenderイベント)

この言葉には、シンプルだが深い哲学が込められている。

多くのギタリスト(俺を含む)は、テクニックを先に習得し、そのあとで「何を表現するか」を考える。速弾きができるようになったから速弾きの曲を作る、スウィープができるようになったからスウィープを入れる――手段が目的になってしまうパターンだ。

マテウスは完全に逆だ。まず「届けたいメロディ」がある。そのメロディを最も美しく届けるために、必要なテクニックを後から身につける。目的が先で、手段があと。この順序が、彼の音楽に一貫した「物語性」を与えている。

ギターは逃げない。逃げるのはいつも自分の指――俺がよく生徒に言う言葉だが、マテウスを見ていると、もっと根本的なことに気づかされる。指が逃げるのは、届けたいものが曖昧だからだ。何を届けたいかが明確なら、指は自然とそこに向かう。マテウス・アサトの音楽が教えてくれるのは、そういうことなんだと思う。

まとめ――マテウス・アサトとは「ギターで歌う」ことを教えてくれる存在だ

ここまで読んでくれた人に、改めて伝えたい。

マテウス・アサトとは、沖縄にルーツを持つ日系ブラジル人のギタリストであり、「ギターで歌う」ことを世界に示し続けている稀有な存在だ。

9歳でギターを手にし、ブラジルの教会で歌心を育み、15歳で全国大会を制覇。19歳で言葉も通じないアメリカに渡り、世界最高峰のアーティストたちのそばで腕を磨いた。SNSを通じて自らの音楽を世界に発信し、2025年にはソロデビューアルバム『ASATO』で沖縄のルーツを世界に刻んだ。

そして2026年、NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の大河紀行を通じて、日本中のお茶の間にあの音が届いた。

速弾きでもない。大音量でもない。たった一本のギターが、人間の声のように歌う。その音に心を動かされた人がこの記事に辿り着いたなら、あなたの感覚は正しい。

ギターに詳しくなくていい。音楽理論がわからなくていい。ただ、彼のギターを聴いて何かを感じたなら、それだけで十分だ。音楽の力とは、そういうものだから。

2026年8月の日本ツアー、そしてYouTubeやTikTokで聴ける数々の演奏動画。マテウス・アサトの音楽への入口は、すぐそこにある。

いいか、まずは1曲聴いてみろ。それでわかる

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